800年のときを経ても、今もなお輝き続ける「曜変天目茶碗」
生楽陶苑では、そんな曜変天目の魅力を研究し続けています。
曜変天目茶碗を愛蔵していたとされる徳川家康曜変天目茶碗を愛蔵していたとされる
徳川家康(1543~1616)
── 時の権力者たちを魅了した、国宝・曜変天目
七色の光が変化する、神秘的な器、曜変天目茶碗。
見る角度によって表情を変える、鮮やかな光彩。
天下一の名碗として、足利義政、徳川家康など、 時の権力者たちを魅了してきました。

曜変天目茶碗で現存するものは、世界で三碗のみ
そのすべてが日本にあります。
三碗、いずれも国宝に指定されています。

1)東京、静嘉堂文庫美術館「国宝・曜変天目(稲葉天目)」
2) 大阪、藤田美術館「国宝・曜変天目」
3)京都、大徳寺塔頭龍光院「国宝・曜変天目」

※古文化財の理化学的研究の第一人者である山崎一雄が発表した“曜変天目であることの条件”の中では「福建省水吉建窯産であること」が条件の一つとして上げられています。
国宝の曜変天目茶碗は見込みに美しい斑文が広がっています。
── 中国で生まれ、日本に伝わった曜変天目茶碗
曜変天目は約 800 年前、中国の建窯で生まれました。
この時期、高級茶は白色をした白茶が主流。
茶映りが良いことから、黒色をした黒釉碗が好まれました。

建窯で焼かれた黒釉茶碗はブランド品としての地位を確立し、
巨大な窯で一回に 10 万個もの茶碗が焼かれたと言われています。
無数に焼かれた中から、僅かに生まれたのが、曜変天目でした。

そして、鎌倉時代に中国から交易品として日本に伝わりました。
室町幕府の足利将軍家の宝物について記した巻物には、
この世にこれ以上のものはない、と最高の評価が与えられています。

曜変天目には、日本人の美意識が受け継がれ、
伝えられてきた歴史が含まれています。

── 焼成方法の謎と、生楽陶苑での取り組み
曜変天目は陶芸史至上、最大の謎とされてきました。
その幻想的な美しさに、多くの陶芸家が虜となり、
あらゆる技法を用いて、再現・研究が行われています。

当苑もそのような研究に当たってきた窯元の一つです。
生楽陶苑では、その謎を解く鍵は焼成方法にあると考えています。

うわ薬には、自然の天目釉を用い、
焼成方法を変える手法で挑戦を続けています。

曜変天目茶碗の研究によって出来た「ものはら」曜変の研究によって出来た、当苑のものはら
── 曜変天目の不思議な魅力
当苑でも幾度にもわたる天目茶碗の焼成を続けてきましたが、
器として価値を認められるものは数えるほどしか出来ません。
一回の焼成ですべてが失敗作ということもしばしば。
それでも、窯出しの度に違った “顔”に出会える楽しさがあります。

一つの器の中に七色すべての色が入り込む様子は、
まるで光の申し子のようです。
当苑ではそのように焼けた器を「オーロラ天目」と名付けました。

炎の当たり具合が顕著に現れるで、
当然のことですが、同じ虹彩をもつ器は二度とできません。

七色が見る角度によって変化するので、
やわらかい自然光をうけて、手の中で転がして見るのも
器の楽しみ方の一つです。

時代が経っても変わらない、あるいは時代を経て趣が増すような、
そんな器を目指しています。
七色の光が入り込む「油滴天目」生楽陶苑の油滴天目茶碗。曜変天目茶碗の研究から、油滴天目に虹色の光彩を浮かび上がらせる技法が生まれました。
生楽陶苑、園田一成生楽陶苑・窯主
園田一成
生楽陶苑について
── 曜変との出会い、そして研究
中国の南宋時代に作られ、日本に伝世している曜変天目茶碗の内の1碗、静嘉堂文庫美術館蔵の稲葉天目には2回お目にかかる機会がありました。猫足様(ねこあしよう)の斑文と虹彩の変化、凛とした気品を感じる端正な形。その妙に魅せられて、
40年近く新たな発見や感動に出会いながら、自分なりの方法で取り組んでいます。

地元・宮崎の原料を使うこと、特にシラス(火山灰の堆積物)を主原料にした天目釉を作ることにこだわりました。またそのような釉薬が窯変現象を表現するのに最適であることが分かってきました。都城地方でかつて盛んだった“ダルマ窯”による瓦焼成の技術を曜変天目焼成に応用することにも力を入れています。

今まで中国には曜変天目茶碗は1碗もなく、出土もしていないことが不思議ではありましたが、近年南宋の首都である臨安(現在の杭州市)浙江省の皇城の北門近くで、一碗の曜変天目茶碗の残器が出土しました。中国のサイトに掲載された写真を見て、これもまた息をのむ美しさがありました。この出土によってまた新しい曜変天目研究がスタートするであろうと思います。

「曜変、建盞の内の無上也。世上になき物也。…」を目指して、日々研究に努力精進したいと思います。

生楽陶苑 園田一成

──2016年12月26日付の宮崎日日新聞・文化欄にて、園田一成の曜変天目茶碗に関する記事が掲載されました。
みやざき美術時評「曜変天目茶碗に挑む」(写真をクリックすると拡大します。)
三股町・陶芸家 園田一成「曜変天目茶碗に挑む」
── 曜変天目に関するニュース
── 曜変天目に関するリンク集
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