「生まれることの楽しさ」を通して、使う喜びを感じていただきたい
そんな思いをカタチにすべく、生楽陶苑は1976年に開窯しました。
1976年、開窯当時
小さな作業場と窯が一つ。
街なかに工房を設け、
時間も忘れて制作に没頭する日々。
壷や湯のみ、コーヒーカップ、抹茶碗、陶人形などを中心に
作陶をはじめました。
近所にいた猫のオブジェも遊びながら作っていたところ、
それが評判を呼び、猫をモチーフにした食器制作もはじめました。
中でも猫の絵皿やマグカップ、小さな猫のついたお茶碗などは、
当苑の人気シリーズになっています。
三股町長田にある、現在の生楽陶苑
── 自然豊かな環境へ
制作の幅が広がり、また薪窯を作りたいという思いもあって、
宮崎県の山間地方である三股町長田の地に工房を移しました。
すぐそばに小川が流れ、緑があふれる豊かな自然環境の中に
工房を築くことが出来ました。
そこでも近所の猫たちがやってきて、作品のモデルになったり、
時には招き猫になったりして、
やがて一緒に暮らすようになりました。
猫たちが庭で遊ぶ姿は、当苑の風景の一つとなっています。
豊かな自然環境ゆえに夏は涼しいのですが、
冬は工房の中も3℃にまで下がります。
なので、冬場の作業には防寒着とストーブが欠かせません。
工房の裏を流れる小川
ストーブのそばで温まる猫
人気の猫絵マグカップ
── 築窯と原料へのこだわり
当初からの願いであった穴窯を丘の斜面に合わせて作りました。
自分たちの手でレンガを積み上げて作った、オリジナルの窯です。
そのほかにも、倒炎式角窯や灯油窯が加わり、
現在は7種類の窯を作品によって使い分けています。
作品制作には地元の原料を使うことにこだわっています。
試行錯誤の上、裏山から採れる白砂(シラス)を主原料とした
釉薬を作ることができました。
また、地元のワラ灰や木灰などを調合して、
様々な釉薬を作っています。
安心してお使いいただけるように、
鉛やカドミウムなどの健康に影響のある原料は使用いたしません。
登り窯の焼成
── 陶器への思いと新たな挑戦へ
陶器は、使い込むことや時間の経過とともに、また趣が変わるもの。
長く使う楽しみがあるのも陶器の魅力です。
これまで夫婦で営んできた当苑ですが、現在は二代目が修行中。
家族で協力して、また新たな焼き物への挑戦が始まっています。
恵まれた自然環境の中で、
じっくりと、たっぷりと陶芸と向き合う時間。
そんな中で生まれた作品たちが、
お客様の手元で楽しみや安らぎを共にできたら。
そう願いながら、一つ一つ心を込めて作っています。
家族で協力して仕事をしています
シラスを主原料にした自然釉
素焼きの状態のぐい呑み
窯焚きの様子
窯出しを待つ器たち
── 生楽陶苑の歩み
- 1971年
- 東京国立市にて桂一正氏に師事
- 1976年
- 山王焼、生楽陶苑開窯
- 1981年
- ひな人形「愛びな」を明治新宮例大際奉祝で献納
- 1984年
- 園田一成作「焼〆壺」が宮崎県展にて特選
- 1986年
- 園田一成作「大皿」が宮崎日日新聞社美術展にて特選
- 1887年
- 三股町文化賞受賞
- 1988年
- 九州山口陶磁器展にて日本経済新聞社賞
西日本陶芸展入賞
都城市美術展大賞、無鑑査となる
- 1999年
- 昼どき日本列島にて「器の決め手は白い砂」放送
- 2000年
- 三股町文化会館の陶壁( 5,580 × 3,540m )制作
サヌカイト(石琴)と出会い陶器の楽器(陶琴)を制作
- 2001年
- 小学館『サライ』にて猫の箸置きが紹介される
猫のオーケストラ 300 匹が完成
(都城地場産業センターロビーに展示)
- 2006年
- 開窯30周年
宮日美術展 奨励賞受賞
- 2007年
- 霧島酒造 「吉助」 にて個展